熱に弱い素材でもOK!工学院大学が「室温で作れる半導体」技術を発表、未来のフレキシブルデバイスに期待

熱処理不要、完全室温で半導体を作製する新技術

工学院大学の相川慎也教授(電気電子工学科)が、高温での熱処理やオゾン処理を必要としない、画期的な薄膜トランジスタ作製技術を開発しました。この技術は、紫外線(UV)照射と静置のみで、基板温度を30℃未満の「室温」に保ちながら、酸化物薄膜トランジスタ(酸化物TFT)の電気特性を向上させることが可能です。

今までの半導体作製との違い

酸化物薄膜トランジスタ(酸化物TFT)は、液晶ディスプレイの画素やセンサー回路などで電気の流れを制御するスイッチとして機能する半導体素子です。従来、この酸化物TFTを作る際には、安定した電気特性を得るために高温での熱処理が不可欠とされていました。この熱処理があるために、使用できる材料が耐熱性の高いものに限定され、特にフレキシブル基板のような熱に弱い材料への応用が難しいという課題がありました。

今回開発された技術では、高温での熱処理だけでなく、オゾン処理も行いません。空気中で処理が可能なため、特別なガス供給装置も不要です。UV照射時に意図しない加熱を抑えることで、完全な室温プロセスを実現しています。

UV照射と静置によるTFT特性の回復を示し、ヒステリシス減少とON電流向上が見られます。また、UV照射時の基板温度プロファイルも提示されており、その温度範囲が示されています。

未来のデバイスへの応用可能性

この熱処理不要の技術は、材料選択の自由度を大きく広げ、デバイス設計の可能性を向上させます。特に、以下のような熱に弱い材料や回路への応用が期待されます。

  • フレキシブルディスプレイ:折り曲げ可能なディスプレイの実現に貢献します。

  • 太陽電池:より多様な基板での太陽電池製造が可能になるでしょう。

  • タッチパネル:製造プロセスの簡素化や高性能化につながります。

  • センサー:熱に弱い素材を用いた高性能センサーの開発が期待されます。

  • 半導体積層プロセス:DRAMなどに用いられる半導体積層プロセスの低温化が見込まれ、製造コストの削減や性能向上につながる可能性があります。

この技術は現在、特許出願中(特願2025-021797、特願2024-146809)の研究段階にあります。工学院大学は、この最新の研究成果と産業応用の可能性を企業に向けて紹介するため、以下のイベントに出展します。

大学見本市2026~イノベーションジャパン 開催概要

  • 日時:2026年8月27日(木)・28日(金) 10:00-17:00

  • 開催場所:東京ビッグサイト 南展示棟 南1ホール

  • 主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)

  • 参加料:無料

  • 事前申込:必要

  • 申込先

  • 技術紹介ブース:C-045

  • ピッチプレゼンテーション:2026年8月28日(金) 13:50-13:55 ピッチステージA