物理世界とAIが融合する「フィジカルAI」事業が始動:現場業務のDXを加速

物理世界とAIが融合する「フィジカルAI」とは

近年、AI技術の進化は目覚ましく、私たちの生活やビジネスに大きな変革をもたらしています。その中でも、物理的な世界とAIを融合させる「フィジカルAI」が、現場業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)を加速させる新たな動きとして注目されています。

株式会社日立ソリューションズ・テクノロジーは、このフィジカルAI事業を本格的に開始しました。画像AI、音声AI、VLM(Vision Language Model)、そしてエッジ技術といった複数の先進技術を組み合わせることで、これまで人の手で行われてきた現場の「認識・理解・判断」をAIが担い、自動化・高度化を実現しようとしています。

フィジカルAIが現場にもたらす変革

フィジカルAIは、カメラ、マイク、LiDAR(レーザー光を用いて距離や形状を測定する技術)などのセンサーから得られる物理世界の情報をAIがリアルタイムで解析し、その結果に基づいて具体的なアクションへとつなげる仕組みです。これにより、現場の様々な課題解決が期待されています。

監視・点検・保守の高度化

設備の状態を常に監視し、異常の兆候を早期に発見できるようになります。例えば、AIが異音や振動、画像の変化を検知することで、設備の故障を未然に防ぐ予兆保全が可能になります。また、点検結果の記録や報告書作成もAIが支援することで、業務の効率化が図られます。

作業支援と安全管理

作業員の動きや周囲の状況をAIが把握し、危険なエリアへの侵入を検知したり、音声で注意喚起を行ったりすることで、現場の安全性が向上します。さらに、音声AIやVLMを活用し、作業手順の提示、必要な情報の検索、作業記録の自動作成などを支援することで、熟練者の技能伝承や作業品質の向上にも貢献します。

ロボットとの連携による自動化

四足歩行ロボットによる巡回点検、ドローンによる広範囲な設備監視、ロボットアームによる複雑な作業支援など、多様なロボット技術とフィジカルAIを連携させることで、これまで困難だった現場の自動化が進められています。

フィジカルAIの実現ステップ

フィジカルAIは、以下の4つのステップを通じて現場業務に価値をもたらします。

  1. 現場を認識: カメラ、マイク、LiDARなどの各種センサーから現場の情報を正確に取得します。
  2. 現場の状況を理解・判断: AIが取得した情報から設備の状態を把握し、異常の候補を抽出したり、作業に必要な判断や手順を提示したりします。
  3. 現場へ実装・検証: エッジデバイス(データ発生源に近い場所で処理を行う機器)を用いてリアルタイムに情報を処理し、必要な通知や音声対話、レポート生成を行います。また、シミュレーションによる事前検証も実施されます。
  4. 業務価値を創出: これらのステップを通じて、設備監視、点検・保守、危険予測、作業支援、技能伝承といった現場業務が高度化され、新たな価値が生まれます。

フィジカルAIの実現ステップ

日立ソリューションズ・テクノロジーが持つ強み

日立ソリューションズ・テクノロジーは、フィジカルAIの実現に必要な「認識」「理解・判断」「現場実装」「検証」の各領域で独自の技術群を有しています。これらの技術を組み合わせることで、それぞれの現場課題に応じたフィジカルAIの適用検証から現場への実装までを一貫して支援しています。

特に、画像認識AI、音声認識、LiDAR点群処理、VLM、エッジ技術(AIモデルの高速化・最適化)、そして仮想空間でのロボットシミュレーションプラットフォーム(NVIDIA Omniverse、NVIDIA Isaac Simなど)といった幅広い技術が、フィジカルAIの基盤を支えています。

未来への展望と「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」での紹介

日立ソリューションズ・テクノロジーは、日立グループ各社やパートナー企業との協創を通じて、フィジカルAIの適用ノウハウを蓄積し、人手不足、技能伝承、設備老朽化といった社会課題の解決に貢献していくとしています。

2026年9月3日から4日にかけて開催される「Hitachi Social Innovation Forum 2026 JAPAN」では、同社が保有するフィジカルAI関連の技術や具体的な取り組み事例がデモンストレーション形式で紹介される予定です。特に、画像AI、音声AI、VLM、エッジ技術を組み合わせた現場作業支援や設備監視の活用事例、騒音下での音声AIエージェントによる作業支援などが展示されます。

また、会期中には「音声対話が実現するフィジカルAIの未来」と題したセッションも行われます。

フィジカルAIは、現場の安全性、生産性、業務効率を向上させ、誰もが安心して働ける持続可能な社会の実現に貢献する技術として、今後の発展が期待されます。