半導体進化の鍵を握るX線計測技術
現代社会を支える半導体は、小型化、多層化、多材料化が急速に進んでいます。これにより、製造プロセスはますます複雑になり、材料や構造を高い精度で、しかも壊さずに評価する「X線計測技術」(物質の内部構造を非破壊で調べる技術)が不可欠となっています。
しかし、非常に微細な構造の評価や、物質の深さ方向にある構造を正確に解析するといった点では、従来のX線計測には限界がありました。この課題を乗り越えるためには、「軟X線」(通常のX線よりも波長が長くエネルギーが低いX線で、特に物質の表面や薄膜の分析に適しています)のような新しい計測手法の開発や、「放射光施設」(電子を光速近くまで加速し、強力なX線などの電磁波を発生させる巨大な研究施設)との連携を強化することが求められています。
また、このような先端的なX線計測技術を理解し、産業や研究の現場で応用できる専門的な人材の育成も、喫緊の課題となっています。
「Beyond The Limits」:限界を超える共創研究所が始動
こうした技術と人材という二つの課題に応えるため、株式会社リガクと国立大学法人東北大学は、「リガク・東北大学X線計測共創研究所 Beyond The Limits」を2026年8月1日に東北大学内に設立しました。設置期間は3年間で、成果に応じて延長が検討されます。
この研究所は、「既存の限界を超える」という「Beyond The Limits」の旗印のもと、技術開発と人材育成を一体的に推進します。

1. X線計測技術の高度化
東北大学が敷地内に有する次世代放射光施設「NanoTerasu」(ナノテラス)は、軟X線領域に強みを持っています。本共創研究所では、このNanoTerasuを最大限に活用し、微細構造の計測技術を開発します。さらに、東北大学の「情報科学」(データ処理、アルゴリズム、計算理論などを扱う学問分野)の知見と、リガクが長年培ってきたX線計測のノウハウを融合させ、データ解析手法の高度化にも取り組みます。これにより、計測と解析の両面から、ますます高度化する計測ニーズに応える技術基盤の確立を目指します。
2. 共創研究の推進
個別の共同研究テーマに限定せず、X線計測が求められる幅広い分野や対象を探索します。従来の技術では不可能と考えられていた計測課題にも果敢に挑戦し、新しい発見や技術革新を目指します。
3. 次世代研究者・技術者の育成と支援
X線計測技術の基礎から、新しい材料や構造への適用までを体系的に学べる機会を提供します。将来的には、大学の正規講義として導入することも視野に入れ、産業界と学術界の双方で活躍できる専門人材の養成を目指します。また、「リガク奨学制度」を設け、X線に関する研究テーマに取り組む大学院生に奨学金を給付し、研究成果を学位論文として結実させるとともに、実用的な計測技術への応用も目指します。
未来を拓くX線計測技術
今後3年間は、半導体分野における軟X線計測の実用化と、情報科学を活用したデータ解析技術の高度化を優先的に推進する予定です。これらの成果を踏まえ、半導体分野にとどまらず、電子材料や機能性材料など、微細構造や材料の状態を正確に把握することが求められる幅広い分野へ展開していくことでしょう。
この取り組みによって育成された研究者や技術者が、産業界と学術界の双方で活躍することで、X線計測技術に関する知識が循環し、持続的なイノベーションの基盤構築に貢献することが期待されます。
株式会社リガクX線研究所 所長であり、本共創研究所の運営統括責任者である表 和彦氏は、「X線にはまだ私たちも知らない可能性が数多く眠っていると確信しています。その可能性を切り拓くには、次の世代の力が欠かせません。東北大学の学術的知見と手を携えながら、未踏の領域に挑むとともに、その挑戦を担う若い才能を共に育てていきたい」と述べています。
また、東北大学国際放射光イノベーション・スマート研究センター センター長で、本共創研究所の運営支援責任者である千葉 大地氏は、「本共創研究所は、NanoTerasuの活用も含め、リガクの高い技術力と東北大学の研究基盤を結ぶプラットフォームであるだけでなく、異なる発想が互いに刺激し合い、年齢・専門・産学の立場を越えて、新しい問いや技術が生まれる場にしたいと考えています。『Beyond The Limits』の名の通り、既存の枠組みにとらわれず、次世代の研究者・技術者と共に、X線計測技術の次の未来を創り、限界を超える挑戦がここから生まれることを期待しています」と語っています。
共創研究所概要
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名称: リガク・東北大学X線計測共創研究所 Beyond The Limits
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活動内容: X線計測技術の高度化と新たな計測手法の確立、ならびに次世代研究者の育成
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運営体制: 運営総括責任者 表 和彦氏(株式会社リガク X線研究所 所長)、運営支援責任者 千葉 大地氏(東北大学 国際放射光イノベーション・スマート研究センター センター長)
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設置場所: 国立大学法人 東北大学内
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設置期間: 2026年8月1日~2029年7月31日(成果により延長の可能性あり)
リガクグループについて
リガクグループは、X線分析を核とする先端的な分析技術で社会を牽引する技術者集団です。1951年の創業以来、産業・研究用分析のソリューションパートナーとして、136の国と地域で事業を展開しています。半導体や電子材料、電池、環境・エネルギーからライフサイエンスまで、その応用分野は日々拡大しています。世界で2,000名を超える従業員が「視るチカラで、世界を変える」イノベーションの実現に取り組んでいます。
詳細については、以下のウェブサイトをご覧ください。



