世界基準の研究力が集結
フォーラムの冒頭、平野博之学長は、岡山理科大学が英国の高等教育専門誌THEの大学ランキングで、世界、アジア、日本、学際科学、分野別、SDGsの個別目標と総合ランキングの計6分野でランクインしていることに触れました。これにより、世界基準の教育・研究環境が整っている大学として評価されており、来場者には多様な研究シーズや教育シーズが提供できるとの期待が述べられました。

半導体が支える私たちの暮らしと未来
特別講演では、岡山市に拠点を置く半導体製造装置メーカー、タツモ株式会社の佐藤泰之代表取締役社長が登壇。「半導体は、あなたのすぐそばにある――暮らしを支える技術と、岡山から世界を支えるタツモの役割――」と題し、生成AI(文章や画像を自動で作り出す人工知能)が私たちの生活に溶け込んでいる現状を解説。その基盤を支える半導体の重要な役割や、半導体製造装置について分かりやすく説明しました。私たちのスマートフォンやパソコン、車など、あらゆるデジタル機器に欠かせない半導体の進化が、未来の技術革新を牽引していることが強調されました。

産学連携が拓く新たな可能性
南善子研究・社会連携機構長(副学長)の挨拶後には、具体的な連携事例が報告されました。
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本下真次センター長(経営学科准教授、アントレプレナーシップセンター長): 学生や研究者が新しい事業や技術に挑戦する機会をどのように創出しているかを紹介。
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林恒宏教授(経営学科): 企業や地域社会と大学が協力し、新たな価値を創造する「価値共創」を通じた産学連携の可能性について報告。
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東村秀之教授(基礎理学科): 次世代の高速通信技術である6G(第6世代移動通信システム)に不可欠な電子基板材料の開発について発表。これは、より速く、より多くの情報をやり取りできる未来の通信環境を実現するための重要な基盤技術です。

多様な研究成果が一堂に会するポスター発表
会場では、121件に及ぶ研究成果のポスターが展示され、来場者は関心のあるテーマについて、担当の教員や学生から直接説明を受け、熱心に議論を交わしていました。フィリピンのマプア大学から岡山理科大学で研究を行う研修生も参加し、国際的な交流の場となりました。フォーラム後には交流会も開かれ、参加者間の親睦が深められました。

社会課題解決に貢献する奨励賞受賞研究
今回のフォーラムでは、特に優れた研究として以下の4件が奨励賞を受賞しました。
1. カーボンニュートラルを加速する低コストな次世代有機太陽電池材料の創製

(研究者:岩永哲夫、山本薫、酒井誠、京都大学化学研究所)
「カーボンニュートラル」(温室効果ガスの排出量を実質ゼロにすること)の実現に向けて、太陽光発電の重要性が高まっています。この研究は、従来のシリコン系太陽電池よりも薄く、軽く、柔軟で、製造コストを抑えられる「有機太陽電池」の新しい材料開発に焦点を当てています。低コストで高性能な有機太陽電池が実用化されれば、建物や車の窓、衣類など、これまで太陽電池の設置が難しかった場所にも導入が進み、再生可能エネルギーの普及を大きく加速させるでしょう。
2. 防犯カメラ映像に映る人物のリレー追跡技術に関する研究

(研究者:島田英之、喜讀杏奈、平田豊、株式会社トスコ)
複数の防犯カメラが設置された広範囲なエリアで、特定の人物を途切れることなく追跡する技術です。AI(人工知能)による高度な画像認識と追跡技術を活用することで、不審者の行動分析や迷子の捜索、災害時の人命救助など、セキュリティや安全管理の分野で大きな効果が期待されます。例えば、ショッピングモールや駅構内など、多くの人が行き交う場所での迅速な対応が可能になるでしょう。
3. バロア症関連ウイルスの高感度迅速検出法の確立

(研究者:児島一州、小川寛人)
「バロア症」は、ミツバチに寄生するダニが引き起こす病気で、ミツバチの群れに壊滅的な被害を与えることがあります。ミツバチは農作物の受粉に不可欠な存在であるため、この病気の蔓延は食料生産にも影響を及ぼしかねません。この研究は、バロア症の原因となるウイルスを、非常に高い精度で、かつ迅速に検出する方法を確立しました。これにより、病気の早期発見と対策が可能となり、世界の養蜂業と生態系の保護に大きく貢献すると期待されます。
4. AIを用いた熟練教員シミュレーションによる模擬授業支援

(研究者:大西朔永、椎名広光、保森智彦)
この研究は、AI(人工知能)がベテラン教員の授業ノウハウや指導方法を学習し、それに基づいて模擬授業の練習をサポートするシステムです。新人教員の研修や、現役教員の授業改善に活用することで、教育の質の向上に貢献することが期待されます。AIが生徒役となり、様々な反応をシミュレーションすることで、教員はより実践的な指導スキルを磨くことができるでしょう。

今回のOUSフォーラム2026は、岡山理科大学が持つ多様な研究シーズと社会との連携の可能性を明確に示す場となりました。これらの先進的な研究が、今後の社会課題の解決や新たな産業の創出に繋がることが期待されます。



