NTTドコモ・NTTデータ・Synspectiveが連携:衛星画像で災害時の通信復旧を加速する新たな協定

災害時の「見えない壁」を乗り越える

地震や風水害が起きたとき、通信ケーブルの断線や基地局の停電により、私たちの生活に不可欠な通信サービスが中断することがあります。しかし、被災した地域では、道路が寸断されたり浸水したりして、人が現地に入るのが難しいケースが少なくありません。これでは、どこがどれだけ被害を受けているのか、どうすれば復旧できるのか、といった情報がなかなか手に入らず、復旧作業が遅れてしまいます。

この「見えない壁」を乗り越えるために、3社は上空からの視点、つまり人工衛星の画像データに注目しました。広範囲の状況を「面的」に捉えられる衛星画像は、現地に人が立ち入れなくても、浸水の範囲や土砂崩れの発生状況、そして道路が通行可能かどうかなどを把握する強力な手段となります。

光学衛星とSAR衛星、二つの「目」で災害を捉える

今回の協定では、二種類の衛星画像を補完的に活用するのが大きな特徴です。

  • 光学衛星画像:衛星に搭載されたカメラで、地表から反射される太陽光などを観測して撮影されます。人間の目で見た状態に近く、被災状況を視覚的に分かりやすく把握するのに役立ちます。

  • SAR衛星画像(合成開口レーダー衛星画像):電波を使って地表を観測する特殊な衛星です。雲や雨の影響を受けにくく、夜間でも地表の状況を詳細に把握できるのが特徴です。

この二つの「目」を組み合わせることで、昼夜や天候に左右されず、被災状況を迅速に確認し、通信設備の復旧ルートを検討できるようになります。これにより、通信サービスの早期復旧へと繋げることが期待されています。

災害支援における3社連携の図

各社の専門技術が連携を支える

今回の協定は、各社が持つ独自の強みを活かしたものです。

  • NTTドコモ:災害に強い通信サービスの提供を基本方針とし、基地局などの通信設備の被災状況把握や、移動基地局車、移動電源車を活用した応急復旧に取り組んでいます。衛星画像と基地局の被災状況、公共機関の情報などを照合し、復旧の優先順位付けや要員・機材配置の判断に活用します。

  • NTTデータ:20年以上にわたり、地球観測衛星データを活用したソリューション開発・提供の実績があります。光学衛星画像を用いた災害対応の高度化を担い、全世界デジタル3D地図「AW3D®」のような技術で、災害対策本部の意思決定を支援しています。今後は、グループ会社である株式会社Marble Visionsが計画する光学衛星の打ち上げにより、さらに迅速かつ継続的な状況把握を目指します。

  • Synspective:小型SAR衛星「StriX(ストリクス)」の開発・運用から、SARデータの販売、解析ソリューションまでを一貫して提供する企業です。SAR衛星の強みである夜間や悪天候時の観測能力を活かし、これまでにも地震や洪水、土砂災害などの際に衛星画像や解析データを提供し、迅速な意思決定を支援してきました。

未来への展望:AIで災害対応をさらに進化させる

3社は今後、実災害での活用実績を積み重ね、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善を繰り返すことで、業務やプロセスの継続的な改善を促す手法)を通じて衛星データの実用性を高めていく方針です。

将来的には、AIによる画像解析技術と衛星データを組み合わせることで、単に被害状況を把握するだけでなく、復旧活動の優先順位付けや意思決定支援をさらに高度化することを目指しています。さらに、災害が起こる前の被災想定やリスク分析への活用も視野に入れ、発災前から発災後まで一貫した災害対応力の強化に貢献していくでしょう。この連携が、より安全でレジリエントな社会の実現に繋がることに期待が寄せられます。