フュージョンエネルギーとは?未来を照らすクリーンな光
フュージョンエネルギー、すなわち核融合エネルギーは、太陽が輝くのと同じ原理を利用して発電する技術です。水素の仲間である重水素や三重水素といった軽い原子核同士を合体(核融合)させることで、莫大なエネルギーを生み出します。この技術の最大の特長は、発電時にCO2を排出しないこと、そして燃料となる重水素が海水から豊富に採取できることです。世界人口の増加や生成AIの普及に伴う電力需要の急増に対し、根本的な解決策となる次世代のクリーンエネルギーとして、世界中で研究開発が加速しています。
なぜ「コミュニケーション」が重要なのか
新たなエネルギーの登場は、産業や経済だけでなく、人々の暮らしや社会のあり方そのものを大きく変える可能性を秘めています。フュージョンエネルギーも例外ではありません。そのため、技術開発だけを進めるのではなく、「どのような未来を目指し、社会とともにその未来を形づくるのか」を考えることが不可欠です。この共同研究では、フュージョンエネルギーを社会に「受け容れてもらう」ための一方的な説明ではなく、多様なステークホルダー(関係者)と共に、新たなエネルギーと共存する社会の姿を考え、その実現に向けた対話の方法論を構築することを目指しています。
過去から学び、未来から考えるアプローチ
本共同研究では、エネルギー技術の社会受容やリスク認知に関する過去の事例を整理し、そこから得られる教訓を活かします。さらに、フュージョンエネルギーが社会に定着した「望ましい未来像」を見据え、その実現に必要な対話や意思決定のあり方を検討する「トランジションデザイン」などの考え方や手法を取り入れる予定です。
東北大学 高橋・狩川研究室は、社会技術システムにおける安全性の向上に関する基盤技術を研究しており、高度科学技術の社会受容性や、新しい安全の視点に基づく大規模システムの安全性向上方策などを専門としています。

東北大学 大学院工学研究科 技術社会システム専攻の高橋 信 教授は、フュージョンエネルギーが「人類が数百年、あるいは千年単位で安定したエネルギーを確保することを考えれば重要な選択肢の一つ」であると述べつつも、社会に向けた説明においては「事実」「可能性」「リスク」を明確に分けて伝える必要性を強調しています。

Helical Fusionの田口 昂哉 代表取締役CEOは、本研究を「科学技術もともに生きる人類にとって不可欠なアプローチ」と捉え、技術開発と並んで重要なテーマであると語っています。

世界と日本のフュージョンエネルギー開発動向
国際エネルギー機関(IEA)の年次報告書「2023年版世界エネルギー見通し」によると、2050年までに世界の人口は約17億人増加すると予測されており、電力需要の急増は既存の発電方法だけでは対応が難しい見通しです。このような背景から、フュージョンエネルギーは世界的な課題を解決する画期的な技術として大きな期待が寄せられています。
核融合プラント建設および電力市場は、2050年までに世界で数百兆円規模にまで成長するとの試算もあり、今後、日本が世界をリードする巨大産業を創出できる可能性を秘めています。国際的な開発競争も激化しており、各国が実用化に向けて動き出しています。
日本においても、2025年10月に発足した新政権が「次世代革新炉や核融合エネルギーの早期社会実装」を明記。同年6月には内閣府による「フュージョンエネルギー・イノベーション戦略」の改定で2030年代の発電実証を目指すロードマップが示されました。さらに、政府はフュージョンエネルギーを「重点投資対象17分野」の一つに挙げ、2040年までに3.1兆円の官民投資を目指すなど、産業化への動きが加速しています。
Helical Fusionが目指す「ヘリックス計画」
Helical Fusionは、フュージョンエネルギーの実用化を目指す日本のスタートアップ企業です。2021年に、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 核融合科学研究所(NIFS)の研究成果を活用しスピンアウトしました。
NIFSは、世界有数の大型プラズマ実験装置「大型ヘリカル装置(LHD)」において、約70年にわたる研究開発を通じて、3,268秒間(約54分間)にわたるプラズマの維持や1億度を超えるプラズマ温度の達成など、ヘリカル型(ステラレータ)核融合研究を牽引してきました。
Helical Fusionは、この日本独自の核融合炉形式である「ヘリカル方式」の知見を活かし、商用発電所に求められる要件を備えやすいこの方式で、世界に先駆けたフュージョンエネルギーの実用化に向けた「ヘリックス計画(Helix Program)」を推進しています。

未来を共に創る対話へ
フュージョンエネルギーは、人類の持続可能な未来を支える可能性を秘めた技術です。この共同研究は、単なる技術開発に留まらず、社会との対話を通じて、この壮大なエネルギーをいかに社会に根付かせ、より良い未来を共に創り上げていくかという、重要な問いに向き合っています。今後の研究成果が、フュージョンエネルギーの社会実装に向けた大きな一歩となることでしょう。
関連リンク
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東北大学 高橋・狩川研究室: https://www.takahashi.qse.tohoku.ac.jp/
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FusionX/Helixos report Global Fusion Market Analysis: Electricity, Supply Chain & Construction: https://fusionxinvest.com/data-analysis/analysis/



