JALグループ、成田空港に「協働型機体洗浄ロボット」を導入
JALグループは、空港のデジタルトランスフォーメーション(DX:デジタル技術を活用して業務やビジネスモデルを変革すること)推進の一環として、国内エアラインで初めてプログラム制御機能を搭載したAerowash社製リモコン式機体洗浄ロボット(AW3)を成田空港へ導入することを発表しました。このロボットは、必要な操作訓練を経て、2026年内の本格運用開始が予定されています。

航空機洗浄の課題とロボットによる革新
航空機の性能維持や美観向上に不可欠な機体外部の洗浄作業は、これまで夜間帯に専門スタッフが長い柄のモップや専用洗剤を用いて手作業で行う、身体的負担の大きい業務でした。JALグループは約30年前にも有線リモコン式洗浄機の導入を試みましたが、当時の技術的な制約により継続運用には至りませんでした。
今回導入されるリモコン式機体洗浄ロボットは、最新の制御技術を搭載し、人間と協力して作業を支援する「協働型」(人間とロボットが連携して作業を行う形式)として進化を遂げた、約30年ぶりの再挑戦となる取り組みです。
革新的な「協働型ロボット」の特長
このロボットの最大の特長は、先進のプログラム制御と高度な協働(アシスト)機能にあります。
-
アームの自動アプローチ機能: 対象機種の主翼や尾翼などの洗浄部位をプログラムで指定すると、ロボットのアームが機体表面まで自動で接近します。
-
人間と機械の「協働」設計: 機体に近接する最終段階では、作業員が手元で繊細な微調整を行うことで、安全性を最優先しつつ作業精度と省力化を両立させます。
-
全方向移動による高い操作性: 4WS(4輪操舵)という全方向移動に対応した駆動・操舵方式を採用しているため、機体周辺での柔軟な取り回しが可能です。
| メーカー | Aerowash AB(スウェーデン) |
|---|---|
| 対応機種 | 1車種でナローボディからワイドボディまで幅広く対応 (ボーイング737、767、787、エアバスA350等) |
| 動力源 | 電動(バッテリー駆動) |
| 寸法(全長×全幅×全高) | 8,000 mm × 2,300 mm × 2,500 mm |
| 駆動・操舵方式 | 4WS(4輪操舵 / 全方向移動対応) |
現場DXとウェルビーイングへの貢献
このロボットの導入は、現場のデジタルトランスフォーメーション(DX)を推進し、ウェルビーイング(働き方改革:社員一人ひとりの幸福や健康を重視し、働きやすい環境を整備する取り組み)にも大きく貢献します。
-
作業工数の削減: メーカーのカタログ値によると、本ロボットの導入により、機体洗浄作業の工数を1機あたり最大4割削減できるとされています。これにより、作業者の省人化や生産性向上が期待されます。
-
作業環境と安全性の向上: 高所作業や長時間の力仕事による身体的負荷が大幅に軽減されます。また、ドライ洗浄などで使用する有機溶剤や化学物質への直接接触リスクも低減され、作業者の健康管理と安全性が高まります。

サステナビリティ(環境対策)への貢献
環境負荷低減も、このロボット導入の重要な側面です。
-
節水効果: 機体1機あたりの使用水量を最大50%削減できるとされています。
-
CO2削減への貢献: 駆動源に電動バッテリーを採用しているため、作業現場におけるCO2排出量の削減に寄与します。
今後の展望
JALグループは、成田空港での運用を皮切りに、国内他空港への導入も検討しており、機体洗浄作業の労働環境改善と品質向上を目指しています。
先端技術の活用を通じて、グランドハンドリング業務(空港で航空機が駐機している間に行われる地上作業全般)の安全性・品質・生産性を高めるとともに、社員が安心して働き続けられる職場環境の実現、そして環境に優しいサステナブル(持続可能)な運航の実現に向けた取り組みを継続していくとしています。



