AIが日常に溶け込む新しい学習環境
「キャンパスポータル」では、学生が毎日アクセスする一つの画面から、授業への入室、AIティーチングアシスタント(TA)との対話、授業ノートの記入、授業後の振り返りまで、一連の学習活動を行うことができます。
授業ごとに成長するAIティーチングアシスタント
各授業には、その授業に特化したAIティーチングアシスタント(TA)を設定できます。教員は講義録や教材を登録するだけで、専門的なプログラミング知識がなくても、授業内容に応じたTAを構成可能です。
このTAは学生一人ひとりに対して独立して動作します。例えば、教員が問いを提示した場合でも、それぞれのTAは学生とのこれまでの対話履歴を踏まえ、一人ひとりに応じた異なる問いかけを行います。AIが直接答えを教えるのではなく、教員が設計した学びをもとに、学生自身が考え、答えにたどり着く過程を支援する役割を担います。
学生のプライバシー保護と学習データの資産化
AIを教育に取り入れる上で重視されているのが、学生のプライバシーです。学生とAIとの対話履歴や授業ノートは、学生本人のみが閲覧でき、教員や大学がその内容を閲覧する機能は設けられていません。大学が把握するのは、システムの運用に必要なAIの利用量のみで、会話内容は含まれません。教員に共有されるのは、学生自身が授業後に自分の言葉で記入する振り返りのみです。
さらに、キャンパスポータルには、授業ごとのTAとは別に、学生一人ひとりの学びに寄り添う「専属AIエージェント」が配置されます。学生はこのAIエージェントの名前や人格などを自分で設定でき、自身の学びの記録をもとに継続的に対話できる環境が目指されます。
卒業時には、キャンパスポータル内で記録された4年間の学びの記録が、外部サービスに依存しない形式で本人へ返却されます。これは、学習データを大学が保有し続けるのではなく、学生自身の「資産」として扱うことを目指すものです。
広範な生成AIを活用できる「全学AI基盤」
キャンパスポータルの基盤として、全学生・全教職員が利用できる「全学AI基盤」も同時に運用を開始しました。この基盤は、テキスト生成に留まらず、画像、映像、音楽などの生成AIも含み、グラフィック/イラスト、3DCG、映像、音・音楽、UI/Web、ゲーム、企画・脚本、リサーチなど、デジタルハリウッド大学の幅広い教育・制作領域での活用が想定されています。
複数の生成AIを大学の共通基盤から利用できるようにすることで、学生は個別のサービスや契約を意識することなく、目的に応じてAIを活用できる環境が整えられます。また、すべてのAI利用を共通のゲートウェイで管理することで、学生単位・授業単位で利用量を把握し、教育現場で継続的に運用できる仕組みが構築されます。
「つくりながら学ぶ」教育の進化
キャンパスポータルは、外部のシステム開発会社に発注された完成品ではなく、現実科学研究所において、学長である藤井直敬氏自身が生成AIを活用しながら設計・構築しました。運用開始後も、実際の授業や学生の利用状況を踏まえながら、教育現場と研究所が継続的に改善を進める方針です。
この取り組みは、テクノロジーを教育現場に合わせるだけでなく、教育する側自身がテクノロジーをつくり、試し、改善するという、デジタルハリウッド大学が開学以来大切にしてきた「つくりながら学ぶ」という実践教育を、AI時代の教育環境そのものへと広げる試みと言えるでしょう。
今後の展開
キャンパスポータルおよび全学AI基盤の運用は2026年9月1日に開始されており、2026年9月21日には2026年度第3クォーター開始にあわせて全学へ展開される予定です。
デジタルハリウッド大学の学長である藤井直敬氏は、この「キャンパスポータル」が、AIが当たり前に存在する時代において、大学の学びの場そのものをどうつくり直すことができるのかという実践であるとコメントしています。AIとともに学び、考え、つくることが自然に行われる環境を、自らもAIとともに更新していくことで、次の教育の形を築いていきたいという考えが示されています。
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