宇宙機の「性能試験場」スペースチャンバとは?
近年、国内外で人工衛星や探査機などの宇宙機開発が非常に活発になっています。これらの宇宙機を宇宙へ打ち上げる前に、地球上と同じように動作するかどうかを確認するだけでは不十分です。なぜなら、宇宙空間は超低温で真空という、地球上では考えられないほど過酷な環境だからです。
そこで必要となるのが「スペースチャンバ」と呼ばれる熱真空試験設備です。これは、宇宙空間と同じような超低温と真空の状態を地上で再現し、人工衛星などの宇宙機器が宇宙で正しく機能するかどうかを確かめるための巨大な装置です。この試験を通じて、宇宙機が実際に宇宙へ行った際に故障しないよう、品質と信頼性を確保します。
現在、JAXA筑波宇宙センターには国内最大級のスペースチャンバ(参考:JAXA「環境試験設備」)が設置されていますが、その運用開始から長い年月が経過しています。本FSで検討される次世代スペースチャンバは、今後ますます大型化・高性能化する日本の宇宙機開発を支える、極めて重要な研究開発インフラとなることが期待されています。
日揮が担う次世代インフラ構築への挑戦
本FSでは、大型の真空容器を中心とする試験設備や関連施設の整備に向けて、具体的な設備・建屋の仕様、整備計画、そして経済性(費用対効果)など多岐にわたる検討が2027年度まで実施される予定です。
日揮は、長年にわたりプラントや施設の「EPC(設計・調達・建設)」事業で培ってきた豊富な経験と知見を活かします。EPCとは、プロジェクトの設計(Engineering)、資材調達(Procurement)、建設(Construction)の全工程を一括して請け負うことで、大規模な施設建設において、機能性、品質、工期、コストの最適化を実現する手法です。日揮の持つ、LNGプラント(液化天然ガス工場)のような極低温を扱う大規模設備の計画・建設実績や、80か国、2万件以上のプロジェクトで培われた高度なプロジェクトマネジメント力は、この次世代スペースチャンバのような高精度かつ複雑な設備の実現可能性を多角的に検証する上で大きな強みとなります。
日本の宇宙開発の未来へ
日揮は、今回のFSを通じて蓄積する知見や成果を、将来的には実際のEPC事業へとつなげ、次世代スペースチャンバの「実装(実際に作り上げること)」まで完結させることを目指しています。
日揮グループは、2026年5月に策定した新中期経営計画「BSP2030」(参考:中期経営計画「BSP2030」)において、顧客と共に課題に挑む姿勢を基本としています。宇宙分野への積極的な事業展開を進めており、本件の他にも、2026年7月にはJAXAの「月面推薬生成プラントの実現に向けた地上実証プラントの詳細設計及び要素試作試験等」(参考:日揮HDプレスリリース)にも採択されています。これらの取り組みを通じて、日揮グループは、日本の宇宙開発能力の向上に貢献していく方針です。
この次世代スペースチャンバが実現すれば、日本の宇宙機開発はさらに加速し、より多くの衛星や探査機が安全に宇宙へ送り出されることでしょう。それは、私たちの生活を豊かにする通信や観測、そして人類のフロンティアを広げる月面探査などの未来の宇宙ミッションを支える、確かな一歩となるはずです。



