未来を拓く「炭素繊維テープ」市場が急成長!2035年には22.9億ドル規模へ

未来を拓く「炭素繊維テープ」市場が急成長!2035年には22.9億ドル規模へ

自動車や航空機をはじめとするさまざまな産業で、軽量化と高強度化へのニーズが高まっています。この要求に応えるべく注目されているのが「炭素繊維テープ」です。SDKI Analyticsが2026年8月25日に発表した調査レポートによると、この炭素繊維テープ市場は、2025年の約10.7億米ドルから2035年には約22.9億米ドルへと大きく成長すると予測されており、予測期間中の年平均成長率(CAGR)は約7.8%と見込まれています。

炭素繊維テープ市場の調査結果グラフ

炭素繊維テープとは?なぜ注目されるのか

炭素繊維テープとは、非常に軽くて丈夫な「炭素繊維」をテープ状に加工した素材です。このテープを何層にも重ねて樹脂で固めることで、鉄よりもはるかに軽くて強い「複合材」という新しい材料が生まれます。この複合材は、特に以下のような分野でその真価を発揮し、市場成長の主要な原動力となっています。

燃費向上と環境負荷低減に貢献する車両の軽量化

自動車産業では、車両の軽量化が燃費向上と排出ガス削減に直結するため、非常に重要視されています。米国エネルギー省の報告によると、車両重量を10%削減すると燃費が6~8%向上するとされています。炭素繊維強化複合材は、従来の金属材料に比べて特定の部品の重量を50~70%も削減できる可能性を秘めています。この特性を活かし、自動車メーカーはバッテリーエンクロージャ、シャシー、ボディ構造など、車両のさまざまな部分に炭素繊維複合材料の採用を進めています。

航空宇宙分野における進化の加速

民間航空機の生産増加や既存航空機の近代化も、炭素繊維テープのような軽量複合材料の需要を押し上げています。航空交通量の増加に伴い、航空会社は燃費効率が良く、より高性能な航空機を導入する必要に迫られています。炭素繊維複合材は、航空機の軽量化だけでなく、耐久性や安全性向上にも寄与し、航空機の設計と製造に革新をもたらしています。

市場を牽引する主要技術と地域動向

炭素繊維テープ市場は、製造プロセスによっていくつかのセグメントに分かれています。中でも「ATL(自動テープ積層)/AFP(自動繊維配置)対応スリットテープ」と呼ばれるセグメントは、2035年末までに市場全体の約48%という大きなシェアを占めると予測されています。

高速・高精度な自動製造技術「ATL/AFP」

ATL(自動テープ積層)とAFP(自動繊維配置)は、コンピューター制御によって炭素繊維テープを自動で積み重ねていく技術です。これにより、人の手作業に比べてはるかに速く、正確に、そして複雑な形状の部品を製造することが可能になります。特に航空宇宙分野では、複合材の高速生産体制の構築や製造コスト削減への関心が高まっており、この技術の採用が拡大しています。薄層(シン・プライ)技術の進展も、ATL/AFP対応スリットテープの成長を後押ししています。

北米と日本が牽引する市場の成長

地域別に見ると、予測期間中、北米が市場の約37.5%という主要なシェアを占めると予想されています。これは、航空宇宙分野における複合材の製造拡大と、米国での技術投資が活発に行われているためです。例えば、NASAは複合材航空機の生産レート向上、コスト削減、性能向上を目指す大規模な官民連携プロジェクト「Hi-Rate Composite Aircraft Manufacturing(HiCAM)」を推進しています。

日本市場もまた、炭素繊維テープの成長に大きく貢献しています。次世代航空機向けの高速CFRP(炭素繊維強化プラスチック)生産への政府支援や、航空機および電気自動車(EV)の軽量化・CO2削減への注力が市場を牽引しています。さらに、自動車、鉄道車両などの輸送分野での軽量化素材への需要拡大や、洋上風力発電の導入拡大も、今後の市場成長を促進すると見込まれています。

最新ニュースと市場の主要企業

炭素繊維テープ市場では、各企業が活発に事業展開を進めています。

  • 2025年8月には、国際協力銀行(JBIC)がToray Industries, Inc.の米国子会社に対し、炭素繊維製造事業向けに180百万米ドルの融資を実行しました。

  • 2025年2月には、Arkemaが「JEC World 2025」で、貯蔵容器、輸送機器、スポーツ用品、航空宇宙分野での用途を対象とした一方向(UD)熱可塑性炭素繊維テープ「UDX」の投入を発表しました。

世界の炭素繊維テープ市場における主要企業には、Hexcel Corporation、Syensqo SA、SGL Carbon SEなどが挙げられます。日本市場では、東レ株式会社(Toray Industries, Inc.)、帝人グループ(Teijin Carbon Europe GmbH)、三菱ケミカル株式会社(Mitsubishi Chemical Corporation)などが上位を占めています。

未来を形作る炭素繊維テープ

炭素繊維テープは、その軽量性と強靭さによって、航空機や自動車の性能向上、燃費改善、そして環境負荷の低減に貢献する革新的な素材です。自動製造技術の進化や各国政府の支援も相まって、その用途はさらに広がり、私たちの未来の移動手段やインフラをより効率的で持続可能なものに変えていくことでしょう。今後の技術革新と市場の拡大に、知的なワクワク感を抱かずにはいられません。

より詳細な市場調査レポートは、SDKI Analyticsのウェブサイトでご覧いただけます。