3Dバイオイメージングの最前線:生命の謎を解き明かす新たな視点
2026年8月21日、カールツァイス株式会社は、東京オフィスにて講演会『進化する3DバイオイメージングとAI解析 ~電子顕微鏡とX線顕微鏡による細胞・組織の全貌解明~』を開催しました。このイベントには約40名のライフサイエンス研究者が集結し、電子顕微鏡(EM)やX線顕微鏡(XRM)といった最先端の技術が、いかに生命科学研究の未来を切り拓くかについて活発な議論が交わされました。
3D観察がもたらす革命:なぜ今、高解像度が必要なのか
細胞や組織の内部は、まるで複雑な都市構造のように入り組んでいます。これまでの一般的な顕微鏡(光学顕微鏡)では、その一部しか見ることができず、全体の構造や機能のつながりを理解するのは困難でした。しかし、電子顕微鏡(EM)やX線顕微鏡(XRM)を用いることで、ミクロな世界の詳細な情報を、まるで立体模型を見るかのように三次元(3D)で捉えることが可能になります。
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電子顕微鏡(EM):電子線という非常に短い波長の光を使って、細胞内のさらに微細な構造や、ウイルスなどの極小な物体を鮮明に観察できます。光では見えないナノメートル(10億分の1メートル)レベルの構造まで明らかにします。
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X線顕微鏡(XRM):X線を使って、細胞や組織を傷つけることなく、その内部構造を立体的に観察できる技術です。試料を薄く切ったり加工したりする必要がないため、より自然な状態での観察が可能です。
これらの技術は、生命現象の理解を深め、病気の原因解明や新薬開発など、多岐にわたる研究を加速させる可能性を秘めています。
最先端の研究事例と解析技術
今回の講演会では、3名の研究者がそれぞれの専門分野における最新の研究成果と、これらの顕微鏡技術の活用事例を紹介しました。
1. 分子と形態をつなぐ「SBF-SEM」の世界
自治医科大学医学部の大野伸彦教授は、『SBF-SEMで見えてくる3次元形態学の世界 ~分子と形態をつなぎ、生命現象の実体に迫る~』と題して講演しました。
- SBF-SEM(Serial Block-Face Scanning Electron Microscopy):試料を非常に薄く削りながら、その表面を電子顕微鏡で連続的に撮影し、得られた画像をコンピューターで重ね合わせることで、細胞や組織の内部構造をまるごと3Dで再現する技術です。これにより、細胞の形や配置といった「形態」と、その中で働く「分子」の動きとの関係性を、立体的に深く理解できるようになります。
2. 広範囲を高速に観察する「MultiSEM」
新潟大学大学院の芝田晋介教授は、『MultiSEMを活用した研究のご紹介』の中で、自身の研究事例を共有しました。
- MultiSEM(マルチビーム走査型電子顕微鏡):一本の電子線ではなく、複数の電子線を同時に試料に照射することで、広大な範囲の画像を一度に、しかも高速で取得できる電子顕微鏡です。これにより、脳組織のような複雑で広範囲にわたる神経ネットワークの構造を、これまでよりも格段に効率良く解析できるようになります。
3. 植物の再生能力の秘密に迫る
理化学研究所の岩瀬哲上級研究員は、『植物の再生能力の秘密:カルスの内部構造を読み解く』というテーマで講演を行いました。
- カルス:植物の細胞が、特定の条件で分化せずに増殖してできる不定形の細胞塊です。このカルスから、再び完全な植物体を再生できる能力は、植物の驚くべき特性の一つです。岩瀬氏はX線顕微鏡を用いて、このカルスの内部構造を詳細に観察し、植物がどのようにして再生能力を持つのか、そのメカニズムの解明に挑んでいます。
これらの講演は、研究者たちがどのようにして最新の顕微鏡技術を駆使し、生命の根源的な問いに迫っているかを示すものでした。
本講演会の詳細アジェンダはこちらで確認できます。
https://www.zeiss.co.jp/microscopy/l/events/2026/bio-user-meeting-2026.html
ZEISSが提供する包括的なソリューション
カールツァイスは、光学顕微鏡から電子顕微鏡、X線顕微鏡、さらには異なる顕微鏡の情報を統合する相関顕微鏡技術、そして大量の画像データを効率的に解析するためのAIを活用したソフトウェアまで、ライフサイエンス研究を包括的に支援するソリューションを提供しています。
特に、AIを活用した画像解析ソフトウェアは、顕微鏡で得られた膨大な量の画像データから、特定の細胞や構造を自動で認識し、定量的に解析することを可能にします。これにより、研究者は手作業による時間と労力を大幅に削減し、より本質的な研究に集中できるようになります。

参加者の声と今後の展望
講演会に参加した研究者からは、「研究者の生の声を直接聞くことができた貴重な機会だった」「異なる研究分野の事例を知ることができ参考になった」といった肯定的な感想が寄せられました。また、「収束イオンビーム搭載走査型電子顕微鏡(FIB-SEM)を用いた研究事例についてさらに詳しく知りたい」といった、具体的な技術への関心も示されました。
- FIB-SEM(Focused Ion Beam-Scanning Electron Microscopy):イオンビームで試料をナノメートル単位で精密に削りながら、同時に電子顕微鏡で観察することで、特定の場所を狙って三次元解析を行うことができる複合顕微鏡です。これにより、細胞内の特定の小器官や、材料中の微細な欠陥など、注目したい部分の立体構造を詳細に調べることが可能になります。
カールツァイスは、今後もこのような対話の場を通じて、先端イメージング技術の可能性を発信し、ライフサイエンス研究の発展に貢献するソリューションを提供していくと表明しています。
ZEISSについて
ZEISSは、1846年にドイツで創業された光学技術を基盤とする国際的なリーディングカンパニーです。半導体製造技術、産業品質・研究、医療技術、消費者市場の4つのセグメントで事業を展開し、世界中で革新的なソリューションを提供しています。研究開発には毎年売上高の約15%を投資しており、イノベーションを成長の原動力としています。
日本には、カールツァイス株式会社、カールツァイスメディテック株式会社、カールツァイスビジョンジャパン株式会社の3つの法人があり、日本の科学技術の発展にも貢献しています。
カールツァイス株式会社のリサーチマイクロスコピー ソリューション(顕微鏡部門)は、ライフサイエンス、材料、工業研究、教育分野向けに、光学・電子・X線顕微鏡システム、相関顕微鏡、AI技術を活用したソフトウェアなど、幅広いソリューションを開発・製造・販売しています。
詳細については、カールツァイス株式会社のリサーチマイクロスコピー ソリューションのウェブサイトをご覧ください。
https://www.zeiss.co.jp/microscopy


