現実世界で活躍するロボットへ:Algomatic Dynamicsが50億円調達、フィジカルAIで社会課題に挑む

ロボットが現実世界で活躍する未来へ:Algomatic Dynamicsが本格始動

AI技術の進化は、私たちのデジタル体験を大きく変えつつあります。しかし、その可能性は仮想空間にとどまらず、ロボットを通じて現実世界へと広がり始めています。このような背景の中、ロボティクスおよびフィジカルAI領域(現実世界でロボットが動き、物理的な作業を行うためのAI技術)に特化したスタートアップ、株式会社Algomatic Dynamicsが本格的に事業を開始しました。

2026年9月9日、同社は合同会社DMM.comを引受先とする50億円の資金調達を実施。この資金を元に、研究開発におけるハードウェアへの投資や計算資源の確保を進め、社会実装を見据えたコア技術の研究開発を加速させます。

Algomatic Dynamicsが50億円の資金調達を実施し本格始動

設立の背景:人手不足とAIの可能性

日本は少子高齢化や労働人口の減少により、製造、物流、医療、介護、飲食といった多岐にわたる産業で深刻な人手不足に直面しています。このような状況で、ロボットがより幅広い環境やタスクに対応することへの期待が高まっています。

Algomatic Dynamicsは、「あらゆるロボットに、なめらかさを。」をミッションに掲げ、特定の機体や用途に限定されない技術基盤を構築することを目指しています。これにより、ロボットがより自然に社会に溶け込む未来の実現を目指しています。

事業内容と3つの主要技術

Algomatic Dynamicsは、社会実装を前提とした研究開発を中核に、以下の事業を展開します。

  • モーションデータの収集・学習
    熟練者の手元を捉える動画解析から、ダンスやサッカーのような全身モーションまで、人の動きをロボットの学習データに変えます。これにより、異なる種類のロボット間で学習した動作やスキルを共有・適用する「クロスエンボディメント」にも対応し、ロボットの貸し出しやオペレーター付き派遣も行います。

  • AIハンドの販売・保守運用
    AI多指ハンド(人間の手のように複数の指を持つロボットハンド)を、ハードウェアとソフトウェアが一体となったパッケージで提供します。販売後も、タスクに特化したチューニングから、品種や現場の変化に合わせた再調整・保守運用までを一貫してサポートします。

  • エンタメ向けAIトイの開発
    二足歩行のキャラクターロボット(AI Toy)の企画・開発・保守運用を行います。アニマトロニクス(機械仕掛けで動物やキャラクターの動きを再現する技術)で培われた技術を活用し、キャラクターに「身体」を与えます。

同社の技術は、特に以下の3つの特長を持っています。

  1. 接触リッチな多指ハンドと一気通貫の学習プラットフォーム
    ハンドのハードウェアに加え、現場のタスクに合わせたデータ収集、基盤モデルへの追加学習、実機への展開までを一つのプラットフォームで提供します。これにより、硬い部品から形の揃わない食材まで、対象に応じた把持と操作を実現します。
  2. 二足歩行の安定制御
    不整地や段差、傾斜など、現実世界の複雑な環境でも、ロボットが崩れることなく歩き続ける安定性を実現します。ロボットの物理モデルに基づいて動きを精密に制御する「モデルベース制御」と、試行錯誤を繰り返し最適な行動を学習するAIの手法「強化学習」に加え、モーションキャプチャや動画から人の動きを学習することで、歩行だけでなくダンスやサッカーのような表現力豊かな振る舞いをロボットに与えます。
  3. 動画解析による暗黙知の構造化
    熟練者の手元を撮影した映像から、言葉やマニュアルでは伝えにくい、経験によって得られる技術的知識「暗黙知」を自動で抽出します。動作のタイミング、力の加減、視線の先など、人が無意識に行う判断をデータへと変換します。

Algomatic Dynamicsのロボット技術を紹介する図

今後の展望とパートナーシップ

Algomatic Dynamicsは、2026年内をめどにAI多指ハンドプラットフォームの国内向け公開を目指しています。現在は研究開発を強化しており、今後は企業や研究機関をはじめとする外部パートナーとの連携や実証を進め、開発した技術を実際の産業や生活の現場へ展開していく予定です。

AI多指ハンドプラットフォームの全体像を示す図

DMM.com会長の亀山敬司氏は、今回の投資について「11年前に始めたロボット事業は6年間ほどで撤退した苦い経験があるが、ここ数年の技術の進化は目覚ましいものがある。ビジネスは早すぎてもいけないが、遅すぎてもいけない!南里との出会いで今こそ再挑戦の時だと思い、彼に賭けてみることにしたよ〜!リスクは俺が取るからリターンよろしくね(笑)」とコメントしています。

DMM.com会長 亀山敬司氏のコメントイラスト

株式会社Algomatic Dynamicsについて

  • 社名:株式会社Algomatic Dynamics

  • 所在地:東京都港区六本木3丁目2番1号 住友不動産六本木グランドタワー 24階

  • 代表者:代表取締役 南里 勇気

  • 設立:2026年4月27日

  • 事業内容:ロボティクス・フィジカルAI領域におけるサービスの開発・提供

  • URL:https://algomatic-dynamics.com/