次世代半導体の扉を開く!レゾナックが世界最大級300mm SiC単結晶基板の開発に成功

次世代エレクトロニクス材料、世界最大級の300mm SiC単結晶基板が誕生

次世代のエレクトロニクス材料として注目されるSiC(炭化ケイ素)において、株式会社レゾナックが直径300mm(12インチ)のSiC単結晶の成長と基板加工に成功しました。レゾナックの調査によると、2026年8月時点で公表されている情報の中で、この300mm口径はSiC基板として世界最大級です。この成果は、SiC基板およびSiCエピウェハーの大口径化と高品質化に向けた、非常に重要な技術的マイルストーンとなります。

SiC単結晶基板

なぜSiCが次世代半導体として注目されるのか

SiCは、パワー半導体(電力の変換や制御を行う半導体。電気自動車や家電製品などで電力を効率良く使うために不可欠な部品)の材料として、従来のシリコンウェハーを用いたパワー半導体と比べて、電力変換時の損失や発熱が少ないという優れた特性を持っています。この特性により、エネルギーの無駄を減らし、省エネルギー化に大きく貢献します。

現在、電気自動車(EV)や再生可能エネルギー分野を中心にSiCの需要が拡大しており、データセンター向けの電源など、より高い効率が求められる領域でも活用が広がりつつあります。レゾナックは、市場の主流である150mm(6インチ)のSiCエピウェハー(単結晶基板の上に、さらに薄い結晶層を成長させたもの。半導体デバイスの製造に直接使われる)を主に供給しており、すでに200mm(8インチ)SiCエピウェハーの出荷も開始しています。

200mm SiCエピウェハー出荷開始に関するニュース

300mm大口径化がもたらす未来

今回の300mm SiC単結晶基板の開発成功は、まだ研究開発段階の成果ですが、将来的な生産効率の向上とコスト削減に大きく寄与する可能性を秘めています。基板の口径が大きくなることで、一度に製造できる半導体チップの数が増え、結果として製造コストの低減につながるため、SiCパワー半導体の普及がさらに加速することが期待されます。

SiCの可能性はパワー半導体だけではない

単結晶SiC材料は、高い熱伝導率も有しています。この特性から、AIサーバーやHPC(高性能計算、非常に複雑な計算を高速で行うための技術やシステム)向けの半導体の放熱基板や、先端パッケージ基板への応用も注目されています。発熱量の多い高性能半導体の冷却効率を高めることで、デバイスの性能向上や安定動作に貢献するでしょう。

さらに、SiCは屈折率が高いという特性も持っており、ARスマートグラス(拡張現実技術を搭載したメガネ型のデバイス)など、光学的な応用にも期待が寄せられています。

開発を支えた技術と未来への貢献

今回の成果は、レゾナックが長年培ってきたSiC単結晶成長技術と基板加工技術を基盤とし、グリーンイノベーション基金事業(2050年カーボンニュートラル実現を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が管理する研究開発基金)の一部成果も活用した取り組みの一環です。

レゾナックは今後も「ベスト・イン・クラス」をモットーに、SiC単結晶基板およびエピウェハーの技術革新を追求していくとしています。高性能・高信頼性のSiC材料の提供を通じて、パワーエレクトロニクス市場の進化と持続可能な社会の実現に貢献していくことでしょう。

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