シャープ、宇宙用太陽電池の最前線を「Small Satellite Conference」で展示 – 月面着陸機SLIMを支えた技術も

月面着陸機SLIMを支えた「フィルムシートタイプ」

展示される宇宙用太陽電池の一つは「フィルムシートタイプ」です。これは、太陽電池セル(光を電気に変える部品)を薄いフィルムで覆ったシート構造が特徴です。軽量で柔軟性があり、従来の硬いパネルでは難しかった曲面にも搭載できるため、人工衛星の設計の自由度を高めます。

この技術の「すごい」点は、その実証済みの信頼性にあります。2024年1月に月面への高精度着陸に成功した小型月着陸実証機「SLIM」(宇宙航空研究開発機構 JAXAが開発した、月面への高精度着陸技術を実証するための小型探査機)に搭載されました。SLIMが月面に着陸した後も数カ月にわたり、地球との通信に必要な電力を供給し続け、過酷な宇宙環境下での確かな性能が証明されました。これは、フィルムシートタイプの太陽電池が、すでに「実用化済み」であり、宇宙という極限の環境でも安定して機能することを意味します。

火星衛星探査計画MMX採用予定の「ガラス封止セルタイプ」

もう一つの注目展示は「ガラス封止セルタイプ」です。このタイプは、各太陽電池セルにカバーガラスを直接接着した「CIC(Coverglass Integrated Cell)構造」(太陽電池セルを宇宙放射線などから保護するためのカバーガラスを直接接着した構造)を採用しています。シャープ独自のセル内配線技術により、薄さが特長の薄膜化合物太陽電池(非常に薄い膜状の素材で作られた太陽電池で、軽量かつ柔軟性がある)でありながら、耐久性の高いCIC構造を実現しています。

この太陽電池は、高効率で軽量であることに加え、人工衛星用パネルでの安定した動作性能が評価され、JAXAの火星衛星探査計画「MMX」(2026年度打ち上げ予定の、火星の衛星を探査するミッション)への採用が決定しています。今回展示されるのは、MMXに搭載予定の薄膜化合物太陽電池と同構造のモデルです。これは、この技術が「実用化段階」にあり、未来の深宇宙探査を支える重要な役割を担うことを示しています。

宇宙産業の未来を拓くシャープの挑戦

これらの宇宙用太陽電池は、近年拡大が続くLEO(低軌道)衛星市場(地球から比較的近い高度を周回する人工衛星の市場)において、その軽量性や高効率性、信頼性から大きな期待が寄せられています。小型衛星は通信、地球観測、科学研究など多岐にわたる分野で活用されており、より高性能で耐久性のある電源は不可欠です。

シャープの宇宙用太陽電池は、月面探査や火星衛星探査といった最先端のミッションを支えるだけでなく、今後さらに多様化する小型衛星のニーズに応え、宇宙産業の発展に貢献していくことでしょう。これらの技術は、宇宙開発の「今」を支え、「未来」を切り拓く重要な一歩と言えます。

シャープの展示場所は、Salt Palace Convention Center Japan Booth #513 内です。

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