大学発ディープテックの「経営人材不足」を突破する鍵「ビジョンマッチング」とは?

セッションのハイライト:ビジョンマッチングの重要性

このセッションでは、大学発ベンチャーの事業化における最大の課題である「経営人材の不足」に対して、一つの成功モデルとして「ビジョンマッチング」の重要性が語られました。ビジョンマッチングとは、給与などの条件面だけでなく、事業が目指す社会や解決したい課題への共感を重視して人材と企業を結びつける手法です。

1. 大学発ベンチャーの現状と課題

大学発ベンチャーの数は増加傾向にある一方で、事業化や資金調達を担うプロフェッショナルな経営層が不足していることが、成長の大きな障壁となっています。

2. 「ビジョンマッチング」の有効性

社会実装まで5〜10年を要するディープテック分野では、短期的な待遇よりも、研究者が描く社会課題解決への「ビジョン」に共感できる優秀な経営人材が求められます。この共感が、長期的なコミットメントを生み出す鍵となることが論じられました。

3. 経営人材参画による事業加速の実例

研究者が自身の課題や不足している部分を明確に伝え、開示することで、異分野の経営人材が参画し、事業が飛躍的に加速した事例が紹介されました。グローバル展開や実証実験(新しい技術や製品が実際に使えるかどうかを確かめるための試験)が大きく進展しています。

4. 経営人材参画に至った成功要因

経営人材を引き寄せることに成功した研究者には共通点がありました。それは「目指す社会像を自身の言葉で明確に語ること」と「未完成な部分や必要な支援を素直に提示すること」です。これにより、経営人材は自身のスキルや経験をどのように活かせるかを具体的にイメージしやすくなります。

具体的な成功事例

セッションでは、具体的な研究シーズと、それに経営人材が参画したことで事業が加速した事例が紹介されました。

  • 金沢医科大学 准教授 西園啓文氏
    特定波長の光で精子を活性化させる技術(日米特許取得)を発表。この技術は、不妊治療に新たな可能性をもたらすものです。ビジョンマッチングを通じて、海外の不妊治療機器大手出身の経営人材が参画。その結果、米国企業との協業打診など、事業開発が大幅に進展しています。

  • 金沢工業大学 教授 赤坂剛史氏
    災害時の孤立地域支援を目指す「重量物搬送×長距離飛行」を両立する翼付きドローンを発表。災害時に物資を運ぶことが難しい地域へ、効率的に支援を届けられるようになるでしょう。現在、参画した経営人材候補とともに実証実験および事業化が推進されています。

金沢工業大学の赤坂氏のチームに参画した経営人材候補からは、「ドローンの知識はゼロの状態で飛び込んだが、必要だったのは赤坂先生の夢に本気で共感し、一緒に突き進む覚悟だけだった」とのコメントがありました。ディープテック分野は専門的な知識が必要だと思われがちですが、実際には「誰よりも早く、社会的意義のある挑戦の最前線に立てる場所」であり、これまでのキャリア経験を最大限に活かせる場であると語られています。

今後の展望:マッチングイベント

株式会社スタートアップクラスとTeSHは、この取り組みをさらに加速させるため、対面でのマッチングイベントを企画しています。研究者と経営人材候補が直接顔を合わせ、膝を突き合わせて話すことで、テキストや履歴書だけでは伝わらない深い出会いが生まれることが期待されます。

TeSHとスタクラのプログラム紹介

【対面マッチングイベント】TeSH研究者×経営人材のマッチング

株式会社スタートアップクラスは、「次の100年を照らす、100社を創出する」というビジョンを掲げ、大学発ディープテックの事業化支援を継続していく方針です。研究シーズと経営人材が出会うことで生まれる新たなイノベーションに、今後も注目が集まるでしょう。

株式会社スタートアップクラスについて

株式会社スタートアップクラスは、「次の100年を照らす、100社を創出する」をビジョンに掲げ、厳選されたスタートアップ専門の転職・採用支援サービスを展開しています。これまでに延べ1,700社以上のスタートアップ企業を支援し、そのうち約170社がIPOを実現するなど、支援先の飛躍的な成長に貢献しています。

同社は「起業家ファーストの精神で、ビジョン実現を支える絶対的存在となる」ことを目指し、以下のサービスを提供しています。