危険と隣り合わせの船舶点検に革新を
船舶の保守・点検作業は、高所や暗くて狭い閉鎖空間など、常に安全上のリスクが伴う場所で行われることがあります。作業員が安全に点検場所へ近づくためには、足場の設置や撤去が必要となる場合もあり、点検作業そのものだけでなく、その準備にも多大な時間と費用がかかっています。また、船体の状態や異常の有無を確認する作業は、検査員や熟練技術者の経験に頼る部分が多く、属人化しやすいという課題も抱えています。
今後、熟練技術者の高齢化や人手不足がさらに進む中で、船舶の安全を維持しながら、点検に携わる人々の負担を軽減していくことが喫緊の課題となっています。

ドローン、AI、デジタルツインが織りなす「フィジカルAIプラットフォーム」
本プロジェクトは、ドローンやAI(人工知能)、そしてデジタルツイン(現実世界のモノや空間を仮想空間に再現する技術)を組み合わせることで、人が危険な場所へ立ち入る範囲を最小限に抑え、点検に必要なデータの取得・整理・確認を効率化することを目指しています。
これにより、危険性の高い作業を削減し、点検業務全体の効率化を図ることで、船舶保守・点検業務の安全性向上と人手不足への対応を目指します。
このプロジェクトで開発されるのは、「フィジカルAIプラットフォーム」と呼ばれるシステムです。これは、現実世界(フィジカル)からドローンなどで取得したデータをAIで分析し、その結果をデジタルツイン上で可視化・管理することで、現実世界でのアクションを支援する仕組みです。
具体的には、ドローンなどから取得したデータを現場の近くでAI処理を行う「エッジAI」(リアルタイム性が高く、通信負荷を軽減できる技術)を活用し、画像やセンサーデータの認識・分析を行います。そして、AIとロボティクス(ロボットを設計、製造、運用する技術分野)を連携させるためのシステム設計をForcesteed Roboticsが支援します。

Forcesteed Roboticsが担う重要な役割
Forcesteed Roboticsは、ドローンから取得したデータを現場で即座に処理するエッジAI技術、画像・センサーデータの認識・分析、そしてAIとロボティクスを連携させるためのシステム設計において、その専門知識と技術を提供します。
同社は「世の中の駆動系に人工意識FSR-ACを統合し、機械と人が協調して新たな価値を生み出す未来を創る」をミッションに掲げ、Agentic Vision(AIが自律的に状況を認識し、判断・行動する能力)を中核技術としたPhysical AI・ロボティクスの研究開発を進めています。
詳細な技術情報は、Forcesteed Robotics 技術紹介をご覧ください。
未来へ向けたステップと広がる可能性
2026年度中は、実際の船体データを用いたデジタルツイン環境の構築や実証実験を通じて、ソリューションの核となる技術の確立が進められる予定です。データ取得、AIによる処理・分析、デジタルツイン上での可視化などを組み合わせ、船舶保守・点検業務への適用に向けた検証が進みます。
本プロジェクトでは、従来数週間を要する場合があったドック内の点検関連工程を、将来的に数日規模へ短縮することを目指しています。これは現時点での達成済み成果ではなく、今後の開発と実証を通じて検証されていく目標です。

また、船舶保守・点検業務で得られた技術や知見は、将来的に一次産業や社会インフラなど、危険作業や人手不足に悩む他の産業領域への展開も検討されており、その可能性に大きな期待が寄せられます。
Forcesteed Roboticsについて
株式会社Forcesteed Roboticsは、AI・画像認識・ロボティクス技術の研究開発および社会実装に取り組んでいます。ロボット向けAIアプリケーション「Luqua」「ARIA」「AKASHI」「LEIVOR」の開発に加え、ロボットプラットフォーム「Guardian」、3Dロボットシーンビルダ「3dbuilder」などを展開し、製造・物流・点検・サービスといった幅広い分野でAI・ロボティクス技術の実用化を推進しています。
プロジェクト参画企業
株式会社エクサ
JFEスチールを母体とし、キンドリルジャパンを親会社に持つITサービス会社です。システム全般に関するコンサルティングから、情報システムの企画・設計・開発・構築・運用・保守、ソフトウェア・ハードウェアの開発・販売など、幅広いITサービスを提供しています。
株式会社エアロネクスト
産業用ドローン関連技術のライセンス事業や、産業用ドローンの共同開発事業を手がける企業です。


