AIが空港の未来を拓く!成田空港と国内18空港が挑む、運営・保守のDX

AIが空港の未来を拓く!成田空港と国内18空港が挑む、運営・保守のDX

2026年9月3日、成田国際空港株式会社は、住友商事株式会社を代表機関とし、国内18の空港と共に、AI(人工知能)を活用した空港運営業務と保守点検の高度化に向けた実証実験に参画することを発表しました。

この取り組みは、総務省令和7年度補正予算「地域社会DX(デジタルトランスフォーメーション)推進パッケージ事業(先進的通信システム活用タイプ)」の一環として行われます。空港業界で顕在化する人材不足という課題に対応するため、複数の空港事業者で共同開発・共同利用を前提としたソリューションを構築し、導入・運用コストの抑制を図ることを目指しています。

成田空港ロゴ

なぜ今、AIが空港に必要なのか?

空港は24時間365日稼働し、多くの人やモノが行き交う複雑な場所です。その運営には、広大な敷地の巡回監視、航空機の安全な離着陸を支える細やかな作業、そして各種設備の保守点検など、多岐にわたる業務が存在します。これらの業務は、熟練した人材に頼る部分が多く、近年では人材不足が深刻な課題となっています。

AIを活用することで、これまで人の手で行っていた業務の一部を自動化・効率化し、人的リソースをより重要な業務に集中させることが期待されています。今回の実証実験は、この課題を解決するための具体的な一歩となります。

実証実験の具体的な内容:二つのAIソリューション

今回の実証実験では、以下の2つのAIソリューションが導入されます。

1. 場周道路点検AI

空港の「場周道路」とは、飛行場区域を囲むように設けられた道路で、航空機の安全を確保するため、常に厳重な管理が必要な場所です。この実証実験では、自動運転車両(人の操作なしに自律的に走行する自動車)に搭載されたカメラの映像をAIが解析し、場周道路周辺における侵入者や路面異常、設備の損傷などを自動で検知します。

場周道路点検AIのイメージ図

これにより、今まで人が定期的に巡回して確認していた業務の負荷が大幅に軽減され、点検にかかる工数(作業時間や人員)の削減が期待されます。AIが24時間体制で監視することで、人間の目では見落としがちな微細な変化や異常も早期に発見できるようになるでしょう。

監視システムフロー図

2. エアサイド業務高度化AI

「エアサイド」とは、空港内で航空機が駐機したり、離着陸したりする区域を指し、一般の利用客は立ち入れない制限区域です。この区域では、航空機が到着してから次の出発準備が完了するまでの一連の作業、いわゆる「ターンアラウンド」が非常に重要です。清掃、給油、貨物の積み下ろし、乗客の乗り降りなど、多くの作業が限られた時間内で行われます。

このAIは、駐機場エリアの映像を解析し、ターンアラウンドの進捗状況をリアルタイムで測定します。これにより、出発予測時刻の算出や作業状況の可視化が可能になります。

エアサイド業務高度化AIのイメージ図

航空会社やグランドハンドリング会社(空港で航空機の地上支援業務を行う会社)と情報を共有することで、計画的な出発管理が実現し、航空機の定時性(時刻通りに運航されること)の向上が期待されます。また、作業の効率化や安全活動にも大きく寄与することでしょう。

共同利用型ソリューションが描く未来

今回の実証実験で開発されるソリューションは、複数の空港事業者による共同開発・共同利用を前提としています。これは、各空港が個別にシステムを開発するよりも、導入や運用にかかるコストを大幅に抑えることができるという大きなメリットがあります。これにより、より多くの空港でAI技術の恩恵を受けられるようになり、日本の空港全体の持続可能な運営に貢献することが期待されます。

この実証実験は2026年度中に実施される予定であり、その成果は将来的に全国の空港における業務効率化と安全性の向上に繋がる、重要な一歩となるでしょう。

詳細については、住友商事株式会社のプレスリリースもご確認ください。