製造業の「図面」業務をAIが革新!Polaris.AIが新ソリューションで効率化を支援

製造業の図面業務に残る人手と属人化

製造業の設計・開発現場では、今もなお図面に関する多くの業務が人の手と経験に依存しています。例えば、必要な類似図面を見つけるのに時間がかかるといった検索の課題、寸法や注記の読み取り・転記にかかる手間、新旧図面の差分確認や最終的な検査(検図)がベテランの経験に集中してしまう「属人化」(特定のスキルや知識が特定の個人に集中し、他の人が代替しにくい状態)といった問題が挙げられます。

一般的な生成AI(テキストや画像を自動生成する人工知能)は文章や対話の分野で活用が進んでいますが、製造業固有のデータである図面は、単なる文字認識だけでなく、寸法、記号、部品の関係性といった複雑な情報を正確に読み解く必要があるため、汎用的なツールだけでは現場で活用できる精度に到達しにくいのが現状でした。

製造メーカーにおける図面業務と主な課題

「図面×AI活用ソリューション」の概要

Polaris.AIが提供する「図面×AI活用ソリューション」は、開発・設計業務を以下の5つの区分に整理し、それぞれの課題に対してAIによる解決策を提供します。お客様の既存の図面データや業務フローに合わせて、最適な技術を組み合わせて実装することが可能です。

  • 検索・流用: 形状、属性、自然言語(普段使う言葉)を組み合わせて類似図面を探したり、設計に関する知識(ナレッジ)を検索したり、必要な情報を効率的に見つけ出すAIです。

  • 作成・改訂: 図面作成や改訂の支援、回路設計の支援、組立図から部品リストを自動で抽出するなど、手作業を減らす機能です。

  • 検図: 新しい図面と古い図面の変更点を自動で抽出し、図面情報を構造化(コンピュータが理解しやすい形に整理)することで、ルール化できる項目の検査(検図)をAIが支援します。

  • 承認・変更管理: 図面、仕様書、評価結果といった様々な情報を横断的に検索し、変更履歴の要約や、変更が他の部分にどのような影響を与えるかを分析するAIです。

  • 展開・後工程利用: 図面から必要な数量や部材の情報を自動で抽出し、カタログや仕様書からの情報抽出も行い、後工程でのデータ利用を効率化します。

このソリューションは、最終的な流用や承認の判断は設計者が行う業務フローとして設計されており、図面を外部に出さないオンプレミス(自社内にシステムを構築する方式)や閉域環境(外部から隔離されたネットワーク)にも対応しています。

図面AIの現場適用を実現する3つの力

図面AIを実際の現場で効果的に活用するためには、以下の3つの力が不可欠であるとPolaris.AIは考えており、これらを一貫して提供します。

  1. 図面の構造化力: 線や文字、座標といった図面の要素を解析し、寸法と対象となる形状を関連付けたグラフ構造(コンピュータが関係性を理解できるデータ形式)に変換します。これにより、汎用的な視覚言語モデル(VLM:Vision-Language Model、画像とテキストを同時に理解するAIモデル)だけでは読み解けない図面内の複雑な関係性まで扱えるようになります。
  2. 判断基準の形式知化力: 既存の検査基準に加えて、ベテランの検査担当者へのヒアリングや過去の指摘事例を分析することで、例外的な判断や指摘のレベルまでを再現可能な判定ロジック(コンピュータが実行できる判断基準)として構造化(形式知化)します。
  3. 現場業務への実装力: AIが導き出した結果を、承認、却下、コメント付与といった実際の業務フローにスムーズに組み込み、オンプレミス環境を含む実運用環境で継続的に利用できる形まで実装します。

ソリューションの価値と実証済みテーマ

このソリューションは、Polaris.AIがこれまで多くの製造業向けプロジェクトで培ってきた図面・設計AIの知見を、開発・設計の業務プロセス全体に沿って体系化したものです。これにより、主に以下の3つの価値を提供します。

  • 着手判断の明確化: どの工程に、どのようなAIの活用が有効かを整理して提示することで、導入企業が「どこからAI活用を始めるべきか」を判断しやすくなります。

  • 立ち上がりの短縮とリスク低減: 過去の実証プロジェクトで有効性が確認された手法を再利用することで、導入初期にかかる期間と不確実性を抑えます。

  • 成果の資産化: ライセンスの継続課金だけでなく、図面の特徴データ、オントロジー(※1)、名寄せ辞書などがお客様の資産として残るため、長期的な価値につながります。

これまでのプロジェクトで実証済みのテーマには、以下のようなものがあります。

  • 類似図面検索: 形状、属性、意味情報を組み合わせて、自然言語でも過去の図面を検索できます。

  • 寸法図・部品仕様/カタログ・データシートの読み取り: レイアウト抽出から座標データ化までを実装し、必要な情報を自動で読み取ります。

  • 図面比較・検図AI: 設計意図を理解し、CADの差分やPDF変換時の誤差など、避けられない差分を吸収して、本当に確認すべき変更点を提示します。

  • 数量算出・要件照合・回路設計支援: 図面からの数量算出、要件書の分解と過去仕様との照合、仕様書からの回路構成・部品選定支援などが可能です。

  • 先端テーマ(2D→3D): 複数の2D図面間の関係性をAIが理解し、3D CADモデルへ再構築する研究開発も進められており、一定の有効性が確認されています。

(※1)オントロジーとは、用語や概念の意味と、それらの関係性(上位・下位、部品構成、属性など)を、コンピュータが解釈できる形で体系化したものです。

Polaris.AIの図面・設計領域における実装・技術検証例

今後の展望

Polaris.AIは、図面×AI活用の導入において、まず着手しやすいテーマでの小規模な実証実験(PoC:Proof of Concept、概念実証)から始めることを推奨しています。これにより、効果を確実に確かめながら、設計の妥当性判断や、経験に基づく暗黙知を含む高度な判断支援、変更影響分析、そして2D図面からの3Dモデル化といったより高度な領域へと段階的にAI活用を広げていくことが期待されます。

同社は、デモンストレーションの場だけで動くAIではなく、実際の現場で継続的に使われ、価値を生み出し続けるAIをお客様に届けることを信条として、製造業の設計・開発現場の生産性向上に貢献していく方針です。

本ソリューションを紹介するサイトと資料ダウンロード

本ソリューションの詳細、業務区分ごとの課題とAIによる解決策、実装イメージ、導入の進め方については、以下の特設サイトおよび紹介資料で確認できます。

Polaris.AI株式会社について

Polaris.AI株式会社は、東京大学松尾研究室発のスタートアップ企業です。「AI時代の羅針盤(Polaris)になる」というビジョンを掲げ、製造業、インフラ、官公庁といった「間違いの許されないMission Critical領域」におけるAIの社会実装を推進しています。機械学習、アルゴリズム、ロボティクス、セキュリティ、大規模システム開発など多岐にわたる専門性を持つ研究者やエンジニアが集結し、AIプロジェクトを一貫して手掛けています。